武将印紹介33「徳川家康 しかみ像」(墨将印)

今回の墨将印は『徳川家康三方ケ原戦役画像』(徳川美術館蔵)を墨絵化したしかみ像となります。

一般的な伝承では、元亀3年(1572年)三方ヶ原の戦いで武田信玄に苦渋を飲まされた家康が命からがら浜松城に逃げ帰ったのち、短気を起こして追撃して惨敗したとき、慢心の自戒のためにそのしかみ姿を描かせ、終生近くに置いて手放さなかったとされています。好戦的でカッとなりやすかった家康の性格を考えれば、まさに三方ヶ原合戦の敗北後に描いた物だろうと納得の1枚でした。

 

ですが平成27年(2015年)当時徳川美術館の学芸員であった原史彦さんが、三方ヶ原合戦とは無関係という説を提唱したことで、現在では三方ヶ原の戦いとの関連性は無かったという流れになりつつあります。原学芸員によれば、この姿勢と顔は当時の仏教信仰の影響を強く受けた「半跏思惟」の姿勢であり、神格化された家康を象徴しての姿とのことです。それまで信じられていた家康自身が描かせたという定説に一石投じた形となり、再検証されるきっかけとなった出来事ともいえます^^

 

詳細は発表された論文や歴史家の先生に任せるとして、ここでは簡単にご紹介です。

しかみ像が初めて記録に登場したのは、三方ヶ原合戦より208年後の江戸時代中期、安永9年(1780年)尾張徳川家9代徳川宗睦の養子・治行と結婚した従姫が花嫁道具の一つ(「東照宮尊影」)として紀州徳川家から持ち込みました。

尾張徳川家ではその後も家康公ゆかりの品として大切に保管されますが、明治43年(1910年)に発行された『尾張敬公』で初めて所蔵の由来が記されます。その記述によれば初代尾張藩主・徳川義直(源敬公)が「自ら戒め子孫をも戒めるために父・家康の姿を描かせた」となっています。この話だと「東照宮尊影」は義直が描かせたという事になりますし、江戸中期までの間にどのような経緯があって紀州徳川家の所有となったのかなども個人的には気になるところです。

 

三方ヶ原の戦いとの関連性や家康が描かせたという内容については昭和になってからの話になります。徳川美術館が開館した翌年の昭和11年(1936年)初代館長が新聞社の取材に対し、美術館の目玉として「家康公が三方ヶ原での戒めの姿を描かせた(「三方ケ原戦役画像」)」と宣伝した内容が広く知られるようになったとされています。図録や文化財の紹介などでも当然のことながら「三方ケ原戦役画像」と書かれていたため、そのことに疑問符が付くことが無かった事例といえます。どの武将でも一族のみに伝わる伝承が正しいことも多々あるので、間違えた内容というと失礼になってしまうかもしれませんが・・・m(_ _)m

このしかみ像問題もまだ検証が必要とされ「三方ケ原戦役画像」の否定までは至っていません。しかし、一度広まってしまった内容が見直されることがなかなか難しいのは確かです。似たような例としては江戸時代を通して豊臣秀吉と大谷吉継との主従を超えた関係性の美談として伝わっていた茶会の逸話が、現代では秀吉でなく石田三成と大谷吉継の逸話として書籍やネットなどで紹介され、疑われることなく定着してしまっていたりしています。

伝承や逸話などを排除して史実だけを追求することは必ず良いことではないのですが、しかみ像の今後の展開はとても気になります^^;

ともあれ「三方ケ原戦役画像」が「長篠戦役画像」とも伝わっている経緯など詳細が知りたい方は、徳川美術館様のHPから論文もダウンロードできます。是非ご覧になってみて下さい^^

 

 研究紀要『金鯱叢書』第43輯(平成27年度刊行)
・原史彦氏の論文『徳川家康三方ヶ原戦役画像の謎』

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サイズSMLXL
着丈(cm)65687174
身幅(cm)47505356
肩幅(cm)40434649
袖丈(cm)19202122

素材:本体 綿100%
 5.0oz.     リブ 綿96% ポリエステル4%

 

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